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純粋なミステリーファンにはおすすめできない。でも好きな話。
エヴエヴとか、冷蔵庫に生首が入ってるコピペを連想した。実質的なループものなんだと思いました。本題に入るまでの流れが色々とキツい(流石に時代設定が古すぎ/ヒスってない母親がひとりもいねえ!)んだけど、一気に読んでしまった。
この話の肝は最終的に真相が明らかにならないところだと思います。最後にどうなるかわかってしまうと途中で妄想をこねくり回す意味がなくなります。
この妄想パートが正直かなり長く、てか大半が妄想なので、これもどうせ妄想だろと思うとちゃんと読むのが面倒でダレて、結局のところ真相はどうなんですか、という気持ちにさせられる。そしてそのへん含めてわざとやってんのだろうなとも。つまり頭の中だけであれこれ考えるのは無意味で、ありのままを受け入れるしかないという教訓。それがあのやけに爽やかな読後感につながるんじゃないでしょうか。
それでもやっぱミステリとして真相は描いてほしくない?と感じるけど、悩んだ末に腹くくってすべてを受け入れるのは現実でいつもやってることなので、そういうことでいいのかもしんない。
前半の流れを踏まえて実際どうだったかっていうのを考えると、残念ながら普通に考えて息子が犯人だよなー。動機はわからんので、情状酌量の余地があるだろうか。ただ被害者の名前を暗号めいた表記で手帳に残したりしてるあたりやっぱダメそう。
この主人公はあんまり印象が良くないというか端的に言ってクズなので、一家全滅不可避でざまーみろとも思うし、しかしながら勝手に一人で思い悩んだり自己の保身に走ってしまったりするとこに共感はするので(実際自分が同じ立場になったら似たような状態にはなるだろう)出来れば息子全然犯人じゃなくてハッピーエンドだったらいいねとも思う。でもそんなわけねー。揺れる心。
身近な人間が得体のしれない犯罪者かもしれないっていう可能性は常にあって、それを承知で平和を紡いでる。平和って危ういものだな。と思いました。(浅い感想)